シーン1:罠
【時間】 現代、深夜
【場所】 街中の廃ビル、屋上

SE: 嵐の音、雨が窓を叩く音

カイは、廃ビルの屋上から、街の様子を見つめている。彼の隣には、ひかりと献太、そしてクロが立っている。

カイ: 「僕たちが、街で起きている神隠しの事件を解決するしかない。…それが、僕たちにできること。」

ひかり: (不安げに) 「でも、どうやって?死神たちは、私たちを狙っているんでしょ?」

カイ: 「ああ。だから、僕たちが、彼らの『おとり』になる。」

献太: 「おとり…?」

カイ: 「死神たちの狙いは、僕たちの心を絶望させること。彼らは、僕たちの弱点である、僕たちが大切にしているものを狙ってくる。」

ひかり: 「…じゃあ、私たちの周りの人が、危険に…」

カイ: 「ああ。だから、僕たちが、彼らの前に姿を現し、彼らの目を引く。その隙に、献太くんが、神隠しにあった人たちを探し出して、僕たちに知らせる。そして、ソラが、その人たちを助ける。それが、僕たちの作戦だ。」

シーン2:それぞれの役割
【時間】 現代、同時刻
【場所】 冥府、死神たちの会議室

SE: 邪悪な笑い声、囁くような声

ヤミは、鏡に映る地上の光景を見て、嘲笑っている。鏡には、カイ、ひかり、献太、そして、クロの姿が映し出されている。

ヤミ: (不気味な笑みを浮かべて) 「面白い。自ら、我らの前に姿を現すとは。…小賢しい真似を。」

クロガネ: (冷静に) 「ヤミ。奴らは、我々を倒すことなどできん。なぜなら、奴らの力は、まだ不完全だからだ。…我らの真の狙いは、奴らが互いの『絆』を深め、その力を完全に覚醒させることだ。」

ヤミ: (不気味に) 「…どういうことですか?」

クロガネ: 「絆が深ければ深いほど…それが引き裂かれた時の絶望は、より大きく、甘美なものとなる。我らは、奴らの『日常』を、徹底的に破壊する。そして…その絶望のエネルギーを、スサノオ様へと捧げるのだ。」

SE: 邪悪な笑い声がこだまする

シーン3:神隠しの場所
【時間】 現代、深夜
【場所】 街中の廃ビル、地下駐車場

SE: 闇の中、不気味な風の音

カイは、廃ビルの地下駐車場に降りていく。そこには、神隠しにあった人たちが、眠っているかのように横たわっていた。

カイ: (心の中で) 「彼らを…助けるんだ…。」

カイは、その人たちに手をかざす。彼の瞳が、かすかに光を放ち始める。

カイ: (低い声で) 「…目覚めろ。」

SE: 光が弾けるような音

カイの言葉が、眠っている人たちの魂にかけられた術を、無力化する。彼らは、ゆっくりと目を開ける。

神隠しにあった人たち: 「ここは…?」

カイ: 「…大丈夫です。もう、安全ですから。」

その時、カイの背後から、不気味な声が響く。

声: 「よく来たな、小僧。」

振り返ると、そこには、漆黒の衣をまとった死神が、嘲るような笑みを浮かべて立っていた。

死神: 「お前たちは、我らが放った『神隠し』の幻覚に惑わされず、ここまでたどり着いた。さすがは、冥府の『異物』…だが、遊びはここまでだ。お前たちの魂、ここで狩らせてもらう!」

シーン4:犬の奇策
【時間】 現代、同時刻
【場所】 街中の廃ビル、屋上

SE: 激しい戦闘音、犬の唸り声

死神が鎌を振り下ろす。その瞬間、カイとひかりの前に、黒い影が躍り出た。クロだった。

SE: 獣の咆哮

クロの体が、淡い光に包まれる。カイとひかりが息を飲む前で、豆柴の小さな体は、見る見るうちに引き伸ばされ、変形していく。光が収まった時、そこにいたのは、翼を広げれば二メートルはあろうかという、一羽の巨大な黒鷲だった。

ひかり: (驚きと恐怖で震えながら) 「クロが…!?」

黒鷲(クロ)は、鋭い爪で死神の鎌を受け止め、弾き返す。死神の攻撃をかわしながら、黒鷲は二人に何かを伝えるように、鋭く鳴いた。

カイ: (心の中で) 「『…時間を稼ぐ。お前たちは、献太を助けるんだ!』…そう言ってるのか?」

ひかり: (我に返って) 「カイくん!献太くんを早く!」

カイは、献太の体を抱きかかえる。その時、献太の体から、微かに光が漏れていることに気づく。それは、死神が魂を一時的に亜空間に隔離するために使った、霊的な光だった。

カイ: (光に手をかざし、静かに) 「…消えろ。」

SE: 光が弾けるような音

カイの言葉が、献太の魂にかけられた術を、無力化する。献太の体が、光を失い、深い眠りにつく。

シーン5:新たな覚醒
【時間】 現代、その日の夜
【場所】 カイとソラの自宅、ソラの部屋

SE: 嵐の音、雨が窓を叩く音

ソラは、ベッドの上で不安そうにカイを見つめている。カイは、ひかりとクロと共に、静かに話し合っている。

カイ: 「僕たちが、このまま日常を送っていたら、またソラやひかりが狙われる。…この戦いから逃げることはできないんだ。」

ひかり: (強く) 「うん。私もそう思う。もう、あの絶望的な夜は嫌だ。」

カイ: 「だから、僕たちで、この問題を解決するしかない。死神たちの狙いは、ソラの魂。そして、僕の中の…得体の知れない力。」

ソラ: 「でも、どうやって?相手は、神様みたいな存在なんだよ?」

カイ: 「ソラには、まだ眠っている力があるはずだ。死神たちには効かなかったけど、僕には見えた。ソラが献太くんを助けようとした時、その瞳が光った。念動力とは違う、もっと根源的な…。」

ナレーション(閻魔の声): カイの言葉は、ソラの魂に、かつて奪衣婆ソトとして持っていた、魂の本質を見抜く「千里眼」の能力が、まだ残っていることを示唆していた。

ソラ: (心の中で) 「…私の魂…?」

【第7話 完】