第2話:虚数空間の刺客 ―ミラーシェイド―
【主要キャラクター・武器能力】
カイ言霊:『穿孔(ドリル)』指先から螺旋状の衝撃波を放つ。
 物理的なドリルを超え、空間そのものを抉りながら直進する貫通攻撃。

ソラ三途の蹴撃(リバー・サイド・キック)足元に青白い霊的な炎を纏わせた回し蹴り。
 衝撃波を発生させ、霊体や多数の敵をボウリングのピンのように弾き飛ばす。

クロ(シジマ)魂狩りの大鎌死神の姿に戻った際に振るう身の丈を超える黒き刃。
 切断した箇所から紫色の煙を上げさせ、敵の存在を消滅させる。

高清水涼子論理消去(ロジック・デリート)ショックバトンから放たれる目に見えない高周波パルス。
 敵を構成する「混沌の結合エネルギー」を分解し、砂の城が崩れるように無へと帰す。

北條孝子紅蓮葬送(プロミネン・エンド)千枚通しを敵の核(心臓部)へ突き立て、内側から爆発的な業火を流し込む。
 対象を一瞬で炭化・塵へと変える必殺の刺突。

詫間亨空間圧縮手榴弾(試作型)手のひらサイズの金属球。
 投擲すると小型のブラックホールのような重力場を発生させ、周囲の物質を圧縮・消滅させる。

シーン1:沈黙の産業道路
(川崎・臨海工業地帯) 毒々しい紫色の燐光が、アスファルトや鉄骨を不気味に照らし出している 。 陽だまり探偵事務所の軽バン「ひだまり号」が疾走しているが、ハンドルを握るソラは苦悶の表情だ。

ソラ:「ねえカイ、なんかハンドルが重いんだけど!まるで泥の中を走ってるみたいよ!」
カイ:「重力異常だ。この場所にかかる『因果の重圧』で世界が軋んでいるんだよ」

突如、ダッシュボードのタブレットから激しいノイズ。

ひかりの声(通信):『――カイくん……ジャミングが強……霊的な壁が……プツン!』 通信は完全に途絶し、カーナビの画面もブラックアウトする 。

シーン2:灰色のバリケード
(多摩川スカイブリッジ・出口) 巨大な灰色の森が橋を塞いでいる。それは植物ではなく、コンクリートと枯れ木を混ぜ合わせたような質感の「虚無の植生」だった 。 森が震え、枝先から黒い雫が落ちる。それは瞬時に数百の触手を持つ「混沌の種子(カオス・シード)」の幼体へと姿を変えた 。

カイ:「質より量か。……クロ!」 豆柴のクロが空中で一回転し、漆黒の死神・シジマへと変貌する 。

シジマ:「久々の狩りだ。錆びつかせないでくれよ、相棒」 シジマの「魂狩りの大鎌」が一閃し、数十匹の蟲を消滅させる 。 ソラも負けじと素足になり、アスファルトを踏みしめる。
ソラ:「元奪衣婆をナメんじゃないわよ!『三途の蹴撃(リバー・サイド・キック)』!」 青白い炎を纏った蹴りが、群がる敵を弾き飛ばす 。

カイは群れの中心にある脈打つ紫色の核を見据える。

カイ:「道を空けろ。……言霊:『穿孔(ドリル)』!」 螺旋状の衝撃波が巨大な幹を貫き、バリケードに風穴を開けた 。ひだまり号は崩落する灰色のアーチの下を、アクセル全開で駆け抜ける 。

シーン3:西の消失、東の爆炎
(一方、東名高速道路・御殿場付近) 漆黒のステルス車両「ナイトオウル」の中。涼子は窓の外の枯れ果てた山林を冷ややかに見つめる 。 前方の空間が消失し、紫色の霧の中から「ナイトオウル」を醜悪に模倣した多脚の怪物が現れた 。

涼子:「わたくしの『論理(ロジック)』は、あんな薄汚い鏡には映りまへん」 涼子は車を降り、青白いプラズマを纏ったショックバトンを構える。 計算された最小限の動き。怪物の砲撃をかわし、その構造的弱点にバトンを突き刺す。
涼子:「『論理崩壊(ロジック・ブレイク)』」 青い雷撃が怪物の内部回路を焼き尽くし、霧となって消滅させた 。

(同時刻・川崎の工業地帯) 北條孝子のリムジンが、紫色の蒸気が噴き出す「鉄骨の壁」の前で停止する 。 立ちふさがるのは金属と肉が融合したサイボーグの群れ。 孝子は優雅に車を降り、指を鳴らした。空中に出現する無数の「炎の針」。
孝子:「『千本椿(せんぼんつばき)・乱れ咲き』!」 豪雨のような炎の針が怪物の核を正確に貫き、一瞬で爆炎の地獄絵図を作り上げる 。

シーン4:鏡合わせの悪夢
(埋め立て地の最深部・結晶の荒野) カイ、ソラ、クロが辿り着いた場所は、紫色の結晶に覆われた死の世界だった 。 周囲の結晶柱が明滅し、彼らの影が地面から剥がれ落ちるように立ち上がる。 現れたのは、カイ、ソラ、クロと瓜二つのシルエットを持つ「虚無の鏡像(ミラー・シェイド)」だった 。

影のソラが本体と全く同じモーションで回し蹴りを放つ 。
ソラ:「物理無効!?しかも動きまで完コピ!?げっ、気持ち悪い!」

カイは、自分の『言霊』を模倣しようとする影のカイの懐に、あえて無防備に踏み込んだ 。
カイ:「奴らはプログラムだ。予測不可能な『矛盾』には対応できない」 カイは攻撃ではなく、影の肩に優しく手を置いた 。
カイ:「お疲れ様。もう、休んでいいよ」 「癒やし」という攻撃プログラムに存在しない矛盾した入力に、影のカイは処理落ちを起こして硬直する。その隙に純粋な光の言霊『解呪(リリース)』を流し込み、内側から弾け飛ばした 。

シーン5:三つ巴の邂逅
結晶の壁が次々と「破壊」される赤い閃光と、敵が静かに「消失」していく青い静寂が、南北から近づいてくる 。 埋め立て地の中央、広大なコンテナターミナル跡地。 南からカイ、東から爆炎を背負った孝子、西から青い火花を散らす涼子が、巨大な空間の亀裂を囲むように集結した 。

孝子:「あら、奇妙な『同業者』の方々」
涼子:「相変わらず、趣味の悪い格好してはりますな」
カイ:「……地獄の魔女と、堕ちた天使か」

会話を交わす暇もなく、中央の亀裂が限界まで膨張する。地響きと共に、ビル一棟を握りつぶせるほどの巨大な「腕」が這い出してきた 。

カイ:「来るぞ!構えろ!」 三勢力は背中を預けるわけでもなく、ただ目の前の理不尽を叩き潰すために、同時に地を蹴った。

(第2話・完/第3話へ続く)