第5話:極光のトライアングル ―三つ巴の共闘―
【追加・詳細武器能力:極光の共鳴(レゾナンス)】
カイ 言霊・絶対境界(アブソリュート・バリア)
虚無の力を盾として展開する 。神殺しの力の一部を「守る」ために転用し、巨人の踏みつけさえも受け止める絶対的な防御壁 。
高清水涼子 位相干渉(フェイズ・ジャマー)
バトンの出力を反転させ、敵の周囲の空間座標データを攪乱する 。実体を持たないプログラム体(フェイスレス)の輪郭を維持不能にし、霧散させる 。
北條孝子 地獄茨(ヘル・ソーン)・円舞曲(ワルツ)
足元に展開した魔法陣から、地獄の業火で形成された巨大な棘を無数に噴出させる広域制圧術 。接近する敵をことごとく串刺しにし、内側から爆破する 。
共通連携 極光のトライアングル・アタック
カイが敵を足止めし、涼子の精密な「論理」が穿った穴に、孝子の「混沌」の熱量を叩き込む連携 。相反するエネルギーの衝突が純白の爆発を引き起こす 。
フェイスレス 管理者権限
漆黒のスーツを着た目鼻のない怪人たち 。空間のパラメータを書き換える能力を持ち、物理攻撃や通常の霊術を「無効化」として処理する 。
シーン1:宣戦布告のノイズ
(多摩川河口・埋め立て地) 空間の亀裂から噴き出す紫色のオーロラが凝縮し、5体の人影が降り立つ 。彼らは一様に漆黒のスーツを纏っているが、その顔には目も鼻も口もなく、ただ砂嵐のようなノイズが渦巻いていた 。
フェイスレス:『我々は世界の「バグ」を修正し、新たな理(OS)をインストールするために来た。カイ、北條孝子、高清水涼子。君たちの資質を試す。第三次選別を開始する』
ソラ:「バグ扱いとは随分な言い草ね!」 ソラが瓦礫を蹴り、空中から必殺の回し蹴り『卒塔婆旋風(ストゥーパ・サイクロン)』を放つ 。しかし、フェイスレスの身体は水面のように波打ち、衝撃を完全に透過させた 。
ソラ:「はっ!? 透けた!?」 空振りしたソラの背後へ、フェイスレスの鋭利なデータノイズの刃が迫る 。
カイ:「『転移(シフト)』!」 カイの言霊が発動し、ソラの身体を強制的に自らの背後へ引き戻す 。直後、ソラがいた空間そのものが黒い四角形に切り取られ、消失した 。
カイ:「奴らは空間の『管理者権限』を持っている。物理も霊術もパラメータを書き換えて無効化してくるぞ」
シーン2:氷の令嬢、炎の魔女
涼子:「管理者……? 笑わせんといてくださいな。あなたちみたいな美しゅうないノイズに、管理される覚えはありませんわ」 涼子が純白のコートをはためかせ、青白いプラズマを纏ったバトンを手に前進する 。フェイスレスの放つ紫色の光弾を、涼子は脳内グリッドで瞬時に解析し、最小限の動きで回避していく 。
涼子:「『位相干渉(フェイズ・ジャマー)』!」 涼子がバトンを突き刺したのは敵の身体ではなく、敵を構成する「空間」そのものだった 。座標データを攪乱されたフェイスレスは、身体の輪郭を保てずノイズとなって四散した 。
孝子:「あら。意外とやるじゃありませんの。でも、少し地味ですわね」 東側のコンテナの上で扇子を閉じた孝子が、ダンスを踊るように戦場の中央へ滑り出す 。残るフェイスレスたちが彼女を最大の脅威と見なし、一斉に襲いかかる 。
孝子:「ええ、もっと寄っていらっしゃい。……『地獄茨(ヘル・ソーン)・円舞曲(ワルツ)』!」 孝子の足元から巨大な炎の棘が噴き出し、迫りくる敵を串刺しにする 。もがく敵を指先一つで爆破し、孝子は冷ややかに言い放つ 。
孝子:「感情のない人形遊びは、すぐに飽きてしまいますわ」
シーン3:紫色の巨人
フェイスレス(リーダー):『サンプルデータ収集完了。レベル2へ移行。排除を開始する』 大地が激しく振動し、亀裂の中から山のような巨体を持つ「紫色の巨人」がその全貌を現した 。顔にある唯一の巨大な眼球が、地上の3人を捉える 。
巨人:『オオオオオオオオオ……!!』 咆哮の衝撃波だけで結晶の地面が砕け散る 。3人は図らずも広場の中央で合流する形となった 。
カイ:「不本意だが、一時休戦と行こうじゃないか」
孝子:「休戦? わたくし、あなた様たちと馴れ合うつもりはありませんわ」 涼子:「協力と言い換えてもいい。……まずはあの『美しゅうない巨人』を片付けるのが先決やないですか?」
孝子(涼子の瞳をじっと見つめ、鼻で笑う):「ふん、記憶をなくしてもその小賢しい口ぶりは変わりませんのね。いいでしょう、今夜だけの『遊び』に付き合って差し上げますわ」
シーン4:不協和音の協奏曲
カイ:「行くぞ! 極光(オーロラ)のトライアングル・アタックだ!」
孝子:「ダサいネーミングですわね」 涼子:「センスあらへんわ」
巨人が巨大な足を振り上げる。カイは逃げず、地獄で培った「虚無」の力を解放した 。
カイ:「『言霊・絶対境界(アブソリュート・バリア)』!」 ドォォォン!! 巨人の足がカイの頭上で不可視の壁に激突し、停止した 。カイは膝を震わせながらも、2人の「砲台」が準備を整えるまでの数秒間を稼ぎ出す 。
涼子:「リミッター解除。出力、臨界点突破(クリティカル)!」 涼子のバトンが長槍形態へ変形し、亨からのデータリンクによって巨人の胸部コアを捕捉する 。
孝子:「踊りなさい! 『紅蓮地獄(クリムゾン・インフェルノ)・串刺し公(ツェペシュ)』!」 孝子が放った炎の槍が、巨人の胸板を溶かしながら突き刺さった 。
涼子:「貫きなさい! 『天界雷撃(ヘヴンズ・ボルト)・青龍穿孔(ブルー・ドライブ)』!」 光速に近い青いレーザーが、孝子の炎が穿った穴を通り抜け、巨人の体内コアを直撃した 。
赤と青、混沌と秩序。相反するエネルギーが巨人の体内で衝突・融合し、純白の爆発が夜空を染め上げた 。
シーン5:バベルの楔
巨人が光の粒子となって霧散した後、フェイスレスのリーダーが乾いた拍手をする 。 フェイスレス:『合格だ。本番はこれからだ』
彼が指を鳴らすと、空間の亀裂からスカイツリーを凌ぐ高さの黒い結晶の塔がせり出してきた 。 フェイスレス:『あれは「バベルの楔(くさび)」。この世界を書き換えるためのアンカーだ。最上階で待っているよ』
フェイスレスたちが消え、静寂が戻る 。
涼子:「あの塔から出ている波動……放置すれば1週間で日本の物理法則が崩壊してしまいます」
孝子:「わたくしの美学に反しますわ。……勘違いしないでくださいね。あなた様たちと手を組むつもりはありませんわ」
涼子:「奇遇ですわ。わたくしも非論理的な感情論で動く方とは足並みが揃うと思えまへん」
バチバチと火花を散らす2人の少女の間に挟まれたカイは、肩をすくめた 。
カイ:「まあいいさ。とにかく今夜は引こう。また会うことになるだろう、あの黒い塔の下で」
それぞれの車に乗り込み、別々の方向へ去っていく3つの勢力 。しかし、その目的は一つ――あの塔の頂上を叩き潰すことだけだった 。
(第5話・完/第6話へ続く)