第12話(最終話):夜明けの不協和音 ―星を継ぐもの―
【最終決戦:武器・特殊術式】
高清水凉子 論理・終焉の一筆(ロジック・ファイナル・ストローク)
全ての魔力、論理、感情をバトンに集束させた最後の一撃 。歴史を「誰かに書き換えられるもの」ではなく「自らの足跡で綴るもの」と定義し、偽りの秩序を貫通・粉砕する 。
北條孝子 地獄変・万華鏡(カレイドスコープ)・カオス
地獄の底から汲み上げた怨念、苦痛、憎悪を混濁させた、物理法則を無視するドス黒い炎 。神の計算式に存在しない「負の感情の熱量」をぶつけ、システムを強制停止させる 。
カイ 三位一体(トリニティ)・夜明けの不協和音(ドーン・ディスコード)
孝子の「混沌の炎」と凉子の「秩序の雷」を、カイの「虚無」の言霊で包み込み、一つの巨大な弾丸へ練り上げた合体技 。神の予定調和を物理的に打ち破る「人類の産声」 。
メタトロン 強制アーカイブ(保存)
人間を構成する全データを10センチ四方の「クリスタルの立方体(キューブ)」に圧縮・凍結する 。死も苦痛もないが、成長も変化もない「永遠の停滞」を強いる 。
シーン1:剥奪された空
(東京都心・正午) 一月の終わりのある日、突如として太陽が翳り、世界から「空」が消えた 。 都心の上空3,000メートルに、日本列島全体を覆い尽くさんばかりの**「銀色の箱舟(アーク)」**が出現したのだ 。
凉子(タブレットを見ながら):「質量、推定不可能……。もしあれが落ちてきたら、物理的衝撃だけで大陸が沈みますわ 」 孝子:「あれは『蓋』ですわね。この地球という標本箱を閉じるための、銀色の蓋 」
空から無数の「光の柱」が降り注ぎ、逃げ惑う人々を次々と射抜いていく 。光に撃たれた人々は、一瞬でピクセル状のノイズに分解され、青白く発光する小さな**「キューブ」**へと変貌し、地面に転がった 。
カイ(キューブを拾い上げ、中に浮かぶ恐怖に歪んだ顔を見て):「……生きてるのか、これ?」
凉子:「いいえ。魂のフリーズドライですわ。……こんなん『救済』やない、ただの標本作りです !」
シーン2:至高者の降臨
(芝公園・戦場) 「箱舟」から派遣された量産型天使の軍団を三勢力が迎え撃つ中、天を割って眩い光の柱と共に一人の存在が降り立つ 。光の幾何学模様で構成された身体を持つ、神託の意志の代行者メタトロンである 。
メタトロン:『理解セヨ。宇宙ハエントロピーノ増大ニヨリ死滅スル。故ニ、我ハ最モ輝カシイ瞬間デ全テヲ凍結保存スル。ソレガ唯一ノ「救済」ナノダ 』
メタトロンが提示した「永遠の安らぎ」を、三人は即座に一蹴した 。
凉子:「終わるからこそ命は美しいんです! 永遠の箱の中でカビの生えた幸福をリピート再生するなんて、ただの『無期懲役』と変わりまへん !」
孝子:「わたくしの道を、誰かに用意された幸福で汚さないでくださる? 」
カイ:「俺たちの未来を勝手に保存させてたまるかよ !」
シーン3:銀河を泳ぐ棺桶
(箱舟内部・エデン・コア) 三人は光の階段を駆け上がり、箱舟の中枢へと突入する 。内部は時間が極限まで遅延され、凍りついた星々が浮かぶ「星の墓場」だった 。
メタトロン:『ナゼ、ソコマデ「不完全」ニ固執スル? 変化ハ劣化ダ。成長ハ崩壊ヘノ過程ダ 』
防衛システムが彼らの記憶を読み取り、「失った両親との食卓」や「平和な学園生活」といった甘美な幻影を見せて足を止めようとする 。
凉子(幻影の亨を雷撃で焼き払いながら):「わたくしの愛する亨さんは、もっと必死で泥臭い人ですわ! 傷一つない人生なんて、実験データとしては『欠損値(ヌル)』と同じです !」 カイ:「泥臭くて、血生臭くて、後悔だらけ……それが俺の『リアル』だ !」
三人は自らの「不完全さ」を誇りとして肯定し、幻影を打ち破った 。
シーン4:神殺しの最終術式
(箱舟・最深部) ついに姿を現したメタトロンの本体。彼は「事象の地平線」を翼として展開し、あらゆる攻撃を別次元へ追放・無効化する 。
凉子:「亨さん、わたくしの脳にナイトオウルの全演算リソースを直結して! 0.0001秒後の未来を予測せんと勝機がありません !」
脳が焼き切れるほどの負荷に耐えながら、凉子が「論理のガイド」となり、敵の防御が途切れる一瞬を捉えた 。
凉子:「今ですわ! 三位一体、叩き込みますえ !」
カイ・孝子・凉子:「「「『三位一体・神殺しの証明(デイサイド・プルーフ)』!!!」」」
混沌、秩序、虚無が混ざり合った虹色の極光が、メタトロンの水槽のような核を貫いた 。
メタトロン:『……美シイナ、汝ラノ奏デル音ハ…… 』 至高の管理者は、生命の「不確かな熱量」に敗北し、星屑となって砕け散った 。
シーン5:夜明けの不協和音
(多摩川河川敷・夕暮れ) 箱舟は自壊し、収容されていた数億の「魂のキューブ」が地上へと解放された 。 孝子の炎の翼に守られ、三人は崩壊する船から脱出する 。地上では、人々が元の姿に戻り、喧嘩や泣き声といった「騒がしい日常」が再開されていた 。
カイ(新宿の雑踏の中で):「やっぱり、こっちの方が性に合ってるな 」
孝子(鎌倉の邸宅で):「この地球という名の、薄汚くて美しい箱庭。守る価値はあるようですわね 」
凉子(神戸のテラスでバイオリンを奏でながら):「完ぺきな調和なんて嘘くさいだけです。……不協和音がぶつかり合って、それでも一つの流れを作る。それが、わたくしが見つけた『世界の音』ですわ 」
エピローグ:新たな変数の予感
(陽だまり探偵事務所)
ソラ:「カイ! また依頼が入ったわよ!『空から落ちてきた、背中に羽の生えた女の子』を拾ったんだって !」
カイ(ジャケットを羽織りながら):「やれやれ……退屈しなくて済みそうだな 」
宇宙の深淵では、さらなる上位の「観測者」が静かに微笑む。
観測者:『不完全であることを誇る種族よ。見よう、お前たちがどこへ行き着くのか。次なる特異点が生まれる時を…… 』
凉子(純白のコートを翻し、神戸から東京へ向かう):「行きましょう、亨さん。わたくしたちの『論理』で、世界をもっと面白くしてあげないとあきませんもの !」
(完)