第8話:愛憎の魔母 ―分断される絆―
【追加・詳細武器能力:絆の証明】
高清水涼子 青雷切(ブルー・サンダー・カッター)
 バトンを最大出力で振り下ろす雷の刃 。過去のデータに基づいた動きを、最新の感情(熱量)で上書きして両断する 。

高清水涼子 論理・強制再起動(ロジック・ハードリセット)
 対象にバトンを接触させ、外部から強力な電撃を流し込むことで洗脳プログラムを焼き切る 。

北條孝子 火龍穿孔(ファイヤ・ドレイク・ピアス)
 炎を巨大な龍の形に変え、対象を噛み砕きながら貫く 。再生能力を無効化する高熱の業火 。

詫間亨 空間圧縮手榴弾(試作型)
 涼子に内緒で製作していた隠し武装 。極小のブラックホールを発生させ、周囲の物質や魔物を一気に吸引・圧縮消滅させる 。

カイ 言霊・因果崩壊(カルマ・ブレイク)
 対象の存在理由(因果)を根底から否定し、再生を許さず消滅させる最強の言霊 。

魔母(マボ) 隔離膜(パーティション)
 空間そのものを肉の壁で断絶し、対象を強制的に分断・孤立させる能力 。

シーン1:血管の螺旋階段
(バベルの楔・第3層への通路) これまでの無機質な博物館とは一変し、通路全体が赤黒い肉のような、生温かい質感で覆われている 。壁には太い血管が走り、ドクン、ドクンと不気味な鼓動が響く 。

孝子(ハンカチで口を押さえながら):「……最悪ですわ。パリの職人に特注したこの靴、二度と履けませんわね。焼却処分よ、ガーディ」 涼子(タブレットのデータを見て):「塔全体が一つの『生命体』として活動してます。……わたくしたち、捕食者の胃袋の中を歩いてるのと一緒ですわ」 カイ(フードを深く被り直し):「気をつけるんだ。ここには今までとは違う、質の悪い『情念』が満ちている」

シーン2:愛憎の揺り籠
(第3層・中央空洞) ドーム状の巨大な空間。天井からは赤い管が垂れ下がり、粘液が滴っている 。中央には巨大な心臓の形をしたオブジェが鎮座し、激しく脈動していた 。心臓が裂け、中から上半分が裸婦、下半分が巨大な蜘蛛の姿をした怪物「愛憎の魔母」が現れる 。

魔母:『ヨウコソ、新鮮ナ餌タチヨ。汝ラノ絆、食ライ尽クシテクレヨウ』 魔母が指を鳴らすと、甘ったるいフェロモンが漂い始める 。それは脳を麻痺させ、記憶の中の「愛」と「憎しみ」を強制的に呼び起こす毒だった 。

シーン3:分断の罠
(中央広場)

涼子:「『論理・電磁障壁(ロジック・バリア)』!」 涼子が青い光の壁を作るが、魔母の狙いは直接的な攻撃ではなかった。
魔母:『フフッ。ソノ絆ハ本物カ? 裏切リノ晩餐会ヲ始メヨウ』

床が激しく波打ち、三人の間に半透明の肉の壁「隔離膜」がせり上がる 。
カイ:「分断工作か! 全員、壁をぶち破れ!」 しかし、壁は攻撃を吸収し、衝撃を倍にして跳ね返す 。 床が崩落し、カイ、ソラ、孝子、涼子、亨、ガーディ、クロは別々の「消化器官の迷路」へと飲み込まれていった 。

シーン4:シナリオA・熱砂の舞踏
(ボイラー室のような熱気あふれる空間)

ソラが戦っているのは、ガーディの姿をしながら、口が耳まで裂けた怪物「偽ガーディ」だった 。
偽ガーディ:『お嬢様ノタメニ、死ンデクダサイ。愛シテイルカラ、食ベタイ……』

そこへ、炎を纏った孝子が歩み寄る 。その瞳には、かつてない激しい怒りが宿っていた。
孝子:「わたくしの執事は、そのような無粋な言葉は使いませんわ。……『紅蓮・焦熱領域(プロミネンス・フィールド)』!」 圧倒的な熱波が空間を焼き、偽ガーディを吹き飛ばす。
孝子:「わたくしのガーディは言いますの。『死ぬまでお供いたします』と。……偽物ごときが、北條家の絆を口にするなど、万死に値しますわ!」 孝子は「火龍穿孔」を放ち、偽物を灰すら残さず蒸発させた 。

シーン5:シナリオB・氷結の論理
(極寒の氷の洞窟)

カイの前に立ちふさがるのは、半身が機械化された「偽亨」だった 。
偽亨:『涼子サン、サヨウナラ。アナタヲ守ルタメニ、凍結保存シマス』 冷熱レーザーが放たれるが、涼子が正面から突っ込む。

涼子:「本物の亨さんは、わたくしを『娘』のように管理したかったわけやない。……対等なパートナーとして、わたくしの自律を尊重してくれた人ですわ!」 涼子はバトンのリミッターを解除し、青い雷の刃「青雷切」で偽亨を両断する 。
涼子:「設定(ルール)だらけの偽物に、わたくしの心は動かせまへん!」

シーン6:シナリオC・留守番部隊の意地
(メインホール) 取り残されたガーディ、亨、クロは、無限に湧き出す肉塊の怪物に包囲されていた 。
亨:「凉子さんに内緒で作っていたんですが、これを使います! 『空間圧縮手榴弾』!」 亨が投げた金属球が極小のブラックホールを作り、周囲の怪物を一気に飲み込む 。
ガーディ:「ほう、素晴らしい。……お互い、主人が無茶をするので苦労しますな」

シーン7:不協和音の結実
(魔母の間) 天井が三箇所同時に爆破され、三組のペアが帰還した 。
魔母:『バカナ! 偽物ノ絆ニ惑ワサレナイダト!?』
涼子:「あなたいの用意したテストは、前提条件から間違(まちご)うてますねん」
カイ:「俺たちにあるのは『仲良し』なんて言葉じゃない。……お前なら絶対に裏切らないという、最強の『打算(信頼)』だ!」

三人が同時に跳躍する。 孝子の「紅蓮・焦熱街道」が壁を焼き払い 、涼子の「論理・神経遮断」が魔母の動きを止め 、そこへカイの「言霊・因果崩壊」が炸裂した 。 ドガァァァァン!! 魔母は光の粒子となって弾け飛び、塔を覆っていた肉塊は急速に枯れ落ちていった 。

シーン8:最上階へ
(第3層・出口)

ソラ:「あんたたち……すごくカッコよくない?」
カイ:「自分で言うなよ、ソラ姉」 彼らの前には、冷たく美しい黒い結晶の螺旋階段が現れた 。 三つの勢力は、それぞれの「愛の形」を証明し、ついに塔の頂点、全ての元凶が待つ最上階へと足を踏み出す。

(第8話・完/第9話へ続く)