第7話 脚本「アルカディアの予言者」
【登場人物】
北條孝子(17):漆黒のドレスコートを纏う「東の魔女」。赤い地獄の炎を操る。
高清水凉子(17):純白の戦闘スーツを纏う「西の堕天使」。青い天の雷を操る。
ガーディ:孝子の相棒。元・地獄の番人。
詫間亨(25):凉子の相棒。天才発明家。
キジマ:『アルカディア財団』の指導者。自らを「予言者」と称する。
【本編】
〇富士山麓・旧軍地下要塞・最深部講堂 巨大なドーム状の空間に、数百人の少年少女が異様な制服に身を包み、静寂の中で座っている。 その中央、高い壇上に立つ純白のローブの男、キジマが両手を広げる。
キジマ 「ようこそいらっしゃいました。わが財団の主、『神託(オラクル)』がお招きした貴女がたを歓迎しましょう」
孝子(千枚通しを構え) 「お遊びが過ぎますわ。あなた様のような大言壮語の詐欺師は、地獄でも最も退屈な『お稽古』の対象ですのよ」
凉子(電流鞭を握りしめ) 「狂ってはりますわあ。ただの洗脳を教育やなんて……反吐が出ますわあ」
キジマ 「フフフ、洗脳ではありません。『最適化』です。さあ、始めましょう。生き残った方が、真の『正義』です!」
キジマが指を鳴らすと、子供たちの瞳に冷たい殺気が宿り、一斉に立ち上がる。
〇同・講堂内・乱戦 数百人の子供たちが、蜘蛛のように壁を走り、獣のように床を蹴って二人の少女へ襲いかかる。
孝子 「まあ、面倒ですこと!」
孝子が電光剣を振るい、先頭の生徒を両断する。 だが、切り口からは血が噴き出さず、蝋細工のように滑らかだった。
孝子 「……血が出ませんの……?」
凉子 「非効率的ですわあ!一体ずつ玩具にするのは後にしはったらどうですのん?」
凉子の電流鞭が青い閃光を放ち、周囲の子供たちを一瞬で炭化させていく。 しかし、倒しても倒しても、地獄の番人の力を宿した子供たちの勢いは衰えない。
ガーディ(念話) 『お嬢様、右翼より高エネルギー反応!』
一人の生徒が口から黒い瘴気を吐き出し、孝子の電光剣を蝕む。
亨(通信) 『凉子様、天井!霊的ステルス個体が接近しています!』
凉子の背後に、姿を消した生徒が音もなく飛びかかろうとする。
孝子 「――邪魔ですわっ!」
赤い閃光が、凉子の背後に迫った生徒を真横から両断する。
凉子 「――そちらこそ、美しくありませんわよ!」
青い稲妻が、孝子を襲っていた黒い瘴気を生徒ごと薙ぎ払う。
二人は背中合わせになり、数百の敵に囲まれる。
凉子 「いいですわあ。一時休戦といたしましょう、地獄のネズミさん」
孝子 「光栄ですわ、堕天使様。ですが、もしわたくしの背中に傷一つでもつけたら……二度と笑えぬよう縫い合わせてさしあげますわ」
〇同・講堂・祭壇前 キジマが恍惚とした表情で、共闘を始めた二人を見下ろしている。
キジマ 「素晴らしい……混沌と秩序が奏でる不協和音。時は満ちた!」
キジマの背後に、二つの巨大な影が実体化する。 一つは光も音も吸い込む「無」の塊。もう一つは生命力を貪り食らう「飢え」の塊。
ガーディ(絶叫) 『お嬢様、いけません!アレは番人の中でも最上位の「概念系」!格が違いますぞ!』
キジマ 「まずは貴様らの『意志』を、無に帰そう」
キジマの瞳が冷たく光り、『虚無』の波動が講堂全体を支配した。
(暗転)