Q41.心癒される食について児童福祉施設では、どのような事に気をつけていますか。

A.・施設に於ける食の役割とは?
  1.発達保障(栄養が行き届くようにしていく)
  2.情緒的安定(食が楽しみ・自立支援援助・食事マナーの定着)
  3.連携(家庭らしさを求め、職種にこだわらず、歩み寄る事が大切である。)
  ・家庭的な食事のあり方
   食堂(テーブル)に花等を添え、色彩を意識する。
   家庭の方が崩壊気味(一人食べ)にあり、逆に施設の方が、より家庭的ではないか
   目指すところは「お袋の味!」
   調味料を使うことによって、適度な使用量を学ばせる。
   食材の購入に児童を連れて行く。
  ・食育(食べ物を通じて心と体を育てる)好き嫌いは、自我の芽生えと捉える。
  ・食事を残すのは、施設の児童はメニューを選べないので、当たり前の行動である。
  ・調理も「食育」の一つであり、絶えず調理の様子を見せることも大切である。
  ・「食育」に関して、職員同士の連携がとても大切で、食を通して同じような見解を   持って支援に当たることが大切です。

Q42.愛着障害について教えて下さい。

A.人間関係が希薄であり、特定の人、特に同世代とは親密な人間関係が結べないこと。人を信じない、威張り散らす、人を操ろうとする、自分をいつも被害者だと思う。心からの愛着を受けれない。大人はいつか自分を裏切るという考え方をする。感情面においては恐怖感、不快感を隠し持つむらがあり、心から楽しんだり喜んだりすることができない。身体面では、怪我をよくする。非衛生的痛みについて忍耐強く、触れられることを嫌がる。自我の生育度では自己肯定感がない。
 施設養育の原点は自分にとって愛すべきこの世の中で大切な存在として位置づけ、心の交流を行うことではないでしょうか。従って、施設職員は、子どもにとって自分を愛し、守ってくれる信頼できる大人であると言う存在感を与えることが重要です。

Q43.エンパワーメントについて教えて下さい。

A.アメリカに於ける公民権運動の関わりの中で社会福祉の分野に取り入れられた理念。社会的に不利な状況に置かれた人々の自己実現を目指しており、その人の有するハンディキャップやマイナス面に着目して援助するのではなく、長所、力、強さに着目して援助すること。このような援助方法によりサービス利用者が自分の能力や長所に気づき自分に自信が持てるようになり、ニーズを満たす為に主体的に取り組めるようになることを目指す。
 エンパワーメントの理念を実践するということは、子ども一人一人を正しく理解し評価するということが前提となります。子どもはそれぞれ、自助能力、自立能力を持っています。そこに着目した支援をしたら良いでしょう。

Q44.幼児期の心の育ちを考えたとき、どのように対処すべきでしょうか。

A.1.個別的な関係において-愛着関係の再形成-
  ・子どもの悲嘆は睡眠にあらわれる。それを敏感にキャッチ察知し、関心を示し、受   け入れていくことの大切さ。
  ・自然の流れの中で表出される言語としての悲嘆には、そのような感情を抱くことが   自然であることを伝え、その感情にラベルをはり、認識できるように支援する。
  ・「課題と見られる行動」の背後にある「どうにもならない」思いを汲み取り、そこ   への共感と肯定される行動への置き換え。
  2.基礎的な生活のなかに意図的な試みを-ケアワークの再評価-
  ・特定の関わりをもつ職員の固定化
  ・移行対象の確保と自己領域の拡大
  ・子どもの存在に「想い」をこめる生活環境の構築
  ・アルバムのもつ大切さ
  3.まとめ
  「子どもたちの自己の一貫性、自己感の基盤にある、存在していることの肯定性を支   えているのは、子どもの成長・発達過程にかかわり、経験を共有し、関係性のなか   でエピソードを捉え直し、相互に支え合い、温めていく、家庭的関係である。」

Q45.児童福祉施設で保育士として働くのと、指導員として働くのとでは給料は変わってくるのでしょうか?また、それぞれの給料などはどれくらいになるんでしょうか?

A.児童福祉施設の給与支給は、行政職棒給表又は福祉職俸給表を参考に支払われるパターンが多いと思います。と言うのは、社会福祉法人や社会福祉事業団、公立の施設等、経営主体によって、少し異なるからです。
 さて、保育士と児童指導員の給与格差ですが、これは、殆ど考えられません。上述した棒給表は、同じ表を使用するからです。格差が生じるのは、学歴や経験年数によってです。
 給料がどのくらいになるのか、これを公の場で公表するのは憚られますので、回答を控えます。
 ハローワーク(職業安定所)に行って、児童福祉施設の求人票を調べてみると参考になるでしょう。
 呉々もご理解して頂きたいのは、現場で働いている職員さん達は、子どもたちの幸せを願い子育てを担っているため、殆どの皆さんが給料以上の働きをしています。

Q46.保育士になりたいのですが、理系(理科、数学)などを高校で専攻して勉強しても、文系しか試験には出ないので意味はないですか?

A.意味がないことはありませんよ。あなた自身が理系に興味を持ち勉強したいと思い高校進学することと思います。それは、素晴らしいことです。そのことは、きっと福祉の現場に立った時、必ず役に立つと確信します。
さて、重要なことは高校進学より大学進学にあります。保育士の免許資格がとれる大学を選び受験することが大切なのです。大学受験に関しては各大学の受験科目が関わってきますが、理系だろうと文系だろうと商業科だろうと工業科だろうと農業科だろうと大学受験に際しての最低限の単位取得はあると思いますので、特に心配することはないと思いますよ。

Q47.子どもが悪いことをした時、どのような対応がありますか?

A.さて、子どもが悪いことをした時、「注意する」「叱る」「怒る」と大きく三つに対応が分類できると思いますが
「注意する」は、話すことによって善悪を納得させようと取り組んでいます。
「叱る」は、叱責も含まれますが、「注意する」が何度も繰り返された場合の対応になることでしょう。
「怒る」は、危険度の高い対応です。支援者自身が感情的になっている場合が有るからです。冷静でないからこそ「怒る」と言う状況になりがちです。可能であれば、演技によって「怒る」と言うことも必要なことかも知れません。
支援者は臨機応変使い分けることが大切です。
只、注意しなければいけないのは、「怒る」対応の時、「叩く」行為が生じる可能性が「大」です。これが虐待へと繋がらないよう、支援者は常に気をつけておくことが重要でしょう。
子育ては「忍耐力」が大切です。子どもの成長を温かく見守る、そこには、常に「待つ」と言う心の余裕が求められることでしょう。

Q48.「虐待に対する地域での取り組み」です。医師・保健婦・警察・学校・・・そして住民などの連帯です。家族機能の低下・育児ストレス・孤立・司法の壁など地域にはたくさんの問題がありたくさんのスケットがいます。今後地域に問われるものお聞かせ下さい。

A.現在、市郡町村レベルで、虐待・DV連絡協議会が発足し活動を始めています。
 主な出席者は、児童相談所職員、学校教師、警察官、保健婦、民生児童委員、児童養護施設職員、社会福祉協議会、保育所職員などです。
 只、この連絡協議会は、年1~2回の開催が現状ですが、児童相談所では、それとは別に現場レベルの連絡会や勉強会を行っており、そこには、精神科医等の医療関係者が出席することもあります。
 つまり、制度的、システム的には、虐待・DVに対して整備されてきていることは、間違いのない事実ですが、如何せん、人数的な活動制約が生じてしまいます。広範囲な地域に担当者が一人と言う現状では、活動の限界があります。それでも、特に保健婦さんを筆頭にそれぞれの立場で一生懸命、虐待・DVに対して取り組んでおられる姿は、感動すら覚えるくらいです。
 また、児童相談所に通報或いは相談にこられる場合でも、例えば、学校教師と保健婦とか警察官と民生児童委員とか、大概の場合は、複数の部署が共同で来られるパターンも多々見られるようです。
 さて、地域住民の連帯、まだまだ現状では、非現実的なことのように思われますが、少しずつ関係機関の連携が充実していくことによって、少しずつ芽生えてきているように感じます。管理人も、虐待やDVに対しては、地域の力、具体的にはボランティアの力が不可欠と思っています。所謂、草の根的な活動が、日本全国に拡がっていけば、世の中も良い方向へチェンジしていけると信じています。

Q49.お聞きしたいのですが、少子化の時代である今日、なぜ児童福祉ニーズが増大しているのですか?

A.戦前までの時代では、子育て技術の連鎖が自然の摂理でした。まず、家族関係では、祖母から娘や嫁へと子育ての方法が伝授されたり、多子の時代であり兄弟が幼子の子守をしたり、また、近所関係においても相互扶助が成立していました。ところが、戦後の高度経済成長に伴い都市部を中心に囲むように住宅地ができるドーナツ化現象と共に核家族化も増加していきました。団地やアパートやマンションでは、2世帯が居住するには手狭であり、加えて、祖母達の世代は、生まれ育った土地から離郷するには苦渋の決断が必要だったでしょう。結局1世帯での生活パターンが増加していくことになりました。つまり、子育て技術の連鎖が崩れていく結果へと繋がっていきました。それでも、当時の勤勉な母親達は、田舎に電話したり育児書で学んだり、同じ子育て中の母親達と情報を共有したり等の工夫によって乗り切っていきました。
 そして、現代、「核家族」「共働き」「住宅ローン」「不純異性交遊の年少化」「一人っ子」「育児ノイローゼ」などのキーワードが示す通り、子育て技術の伝授力が弱体化したり、性知識の氾濫が影響してか、大人としての成熟を待たず妊娠したり、他人への思いやりや我慢する力が低下し、「きれた」のキーワードが社会問題として取り上げられたり、母親一人で子育てを担うプレッシャーからノイローゼに陥ってしまったり、DVに代表される家庭内暴力などなど、様々な要因が交錯しています。また、現代社会のストレスによる精神的プレッシャーで心の病に陥るパターンもあります。
 「自閉症」「AD/HD(注意欠陥多動性障害)」「LD(学習障害)」「トラウマ」などのキーワードが示すのは、平均的な子育て技術では、対応が難しいお子さんがいる事実を表しています。
 質問の内容に回答するために(-)面がクローズアップされてしまいましたが、殆どのご家庭では、平々凡々と子育てが営まれています。しかし、一部のご家庭に於いて、家庭養育困難な状況が生じてしまっています。子どもたちは社会構造の基礎である家庭で成長していくのが一番と考えています。ところが、「虐待」「保護者の心の病」等、場合によっては、危険な状況から保護することも必要になり、その為、児童相談所の行使力が制度化されたりしているわけです。
 短文でまとめるには困難な質問内容ですが、とりあえずの回答としますね。

Q50.現在、又はこれから福祉を必要としている子ども達はどんな子ども達がいると思いますか?

A.これまでも、そして、これからも福祉を必要としている子どもたちは、家庭での養育が困難な子どもたちです。家庭での養育が可能であれば、福祉を利用する必要性はないでしょう。
 視点を変えて、これから、どのような福祉サービスが必要かが重要と思います。家庭での状況や子どもたちの特性が多種多様な傾向にある昨今、福祉も専門性を細分化していく時代になってきたと痛感します。
 例えば、AD/HD専門、LD専門、PTSD専門、被虐待専門、虞犯専門等々です。各々にその道の専門家が常駐し、特性に応じた専門的アプローチをしていくと言ったことも検討していく必要があるように感じます。
 また、家族への支援も重要でしょう。子どもたちが良い方向に向かっても家庭復帰した時、家庭が以前と変化無い状況では、元に戻ってしまう危険性があります。
 つまり、子どもたちへのケアと家庭へのケアを同時並行で行っていき、家庭及び地域へと戻る体制が整ってくれば、福祉施設は、人生の通過施設へと位置づけることが出来るようになることでしょうね。福祉施設に措置されて、高校卒業まで福祉施設で生活する。このようなケースが1ケースでも少なくなるように願っています。

Q51.二人の男性指導員がお辞めになられました。二人の方はお金にかえられないやりがいや楽しさがあると引退するまでおしゃっていました。ただ男としてはこの給料じゃ難しいと・・・私もその気持ちすごく男としてわかります。ただ深くはわかりません。このような理由で夢をあきらめるのはおかしいと思いますし。管理人さんも身の回りでこんなことありましたか?もしよろしければお聞かせください。

A.給与の件、つまりお金に関することについては、公共の場では、回答しにくい内容です。
 これは、各々の人生観が関連してきます。人生観は、正誤が判別しにくいのです。
 ですから「このような理由で夢をあきらめるのはおかしいと思いますし」と言う考え方は、とても危険です。あなたの知っている職員さんも、その方なりの人生観で決断をしたと思います。その決断に対して、誰も評価することは出来ないでしょう。
 しかし、世の中には、不安を自分の人生観で払拭し、福祉の仕事を全うされている方は、たくさんいらっしゃるのです。
 だから、自分の道を見極め人生観を確立していってください。自分の人生は、自分で決めるものです。そこには、他人が介入する余地はありません。その上で、児童福祉の道を選ぶのか選ばないかの選択をしたら如何でしょう。

Q52.興味のある環境を児童の福祉という視点からレポートしなさい というレポートの資料を探してここにたどりつきました。児童の福祉というのは、野外活動も施設のひとつとしてふくみますか。

A.福祉とは、「幸福感」と思っています。利用されている方が福祉サービスを受けて、どれだけ幸福感を感じられるか。これが大切なのではないでしょうか。
 つまり、「児童の福祉という視点」とは、児童福祉施設を指しているのではなく、子どもたちが、どのような取り組みによって幸福感を感じるだろうかと言う視点だろうと推測できます。「興味のある環境」とは、読んで字の如く、子どもたちが興味を持って時間を過ごせる空間、或いは、周囲の支援者達の働きかけでしょう。
 そのような意味では、野外活動も支援方法として大切な取り組みと言えます。まとめると、子どもたちが興味を持つプログラムを支援者が提供し、子どもたちが、それを経験することによって幸せな気分になれる、或いは得した気分になれる、そのような野外活動がベストでしょうね。

Q53.私は、今、近くの野外活動センターっでお手伝いをさせてもらっています。キャンプカウンセラーとして子供と関わる機会が多くなってますます子供がスキになってきました。しかしグループで遊ぶと、自己主張の強い子、その子を前に「怖いからこの人嫌い」と言う子、というシュチュエーションがありました。私は、上から押さえるようなやり方はあまりすきでないので、そのまま何も言いませんでした。自分で協調性みたいなものは、学べるものなんでしょうか。私が会う子供たちとは、基本的に、一回こっきりで、嫌われてもいいから、その子にきついことを言おうと思えば、不可能でもないと思います。どうかんがえますか。

A.子どもたちは、各々人格があり、そこには個性があります。そして、それらは、多種多様なのです。子どもたちとのつきあい方には方程式を解くような公式はないのです。だから私たち現場で働く者は、臨機応変対応していかなければならないわけです。と言うのは、時間や環境、ジェラシー、我が儘、甘えの表現などなど、状況に応じて子どもたちは様々な表情を見せてくれます。そして、支援者は状況に応じて対応方法をチェンジしていく柔軟性が求められるわけです。
 つまり、今回の質問に対して、回答することは、軽はずみなことになります。是非、野外活動センターの職員さんや先輩の方に質問する方が、より具体的、現実的な助言を受けられると思いますよ。
 只、一つ言えることは、たった一回こっきりのつきあいのお子さんに対しても、「善悪の区別」だけは、厳格な姿勢を持つことが必要でしょうね。つまり、「ダメなものはダメ」と諭し、良いことはおもっいっきり誉める、このメリハリのある対応が大切でしょう。

Q54.大学に入ってから社会福祉に興味を持ち、社会福祉士の資格を取りたいと思うようになりました。しかし私の大学では社会福祉士試験の試験資格を取得することができません。このような場合資格を取るのにどのような方法があるのでしょうか。

A.
1.現在の大学と同時に他大学の通信課程を受講する。
  *これは、結局二つの学校の学費を支払わなければいけないので非経済的。
2.現在の大学から他大学へ転学する。
  *多分、それはそれは面倒くさい手続きが必要でしょうね。
3.現在の大学を辞めて、専門学校を受験する。
  *人生の賭ですね。
4.社会福祉士養成通信課程(1年7ヵ月・通信)を受ける。
  *入学資格:4年制大学等卒業者(平成15年3月31日卒業見込みの者を含む)
   3年制短大等卒業者+実務経験1年以上の方
   2年制短大等卒業者+実務経験2年以上の方
   実務経験4年以上の方
 さて、最も現実的な方法は、3.でしょうね。あとは、あなたの決断次第でしょう。

Q55.児童福祉を学んでいると次の言葉がよく出てきます。自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害、愛着障害と言う言葉ですが、分かりやすく教えて下さい。

A.某日の新聞に分かりやすい説明が掲載されていましたので抜粋します。
▲自閉症 言葉の遅れや会話の成り立ちにくさがあり、社会的なルールを理解することや他者との関わりが不得手。一つの物事に対するこだわりや同じ行動を繰り返すのも特徴の一つ。知的障害の重い人から知能の高い人まで、知的水準の幅が広い。高機能自閉症やアスペルガー症候群は自閉症の範囲内と考えられている。
▲学習障害(LD) 全般的な知能的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難があるため、勉強に支障をきたす。また、運動面で支障が出るケースもある。
▲注意力欠陥多動性障害(AD/HD) 作業中に足を動かしたり、物をたたいたりといった症状が現れる。例えばゲームの際、ルールは分かっているのに、順番を待てなかったり、他人の邪魔をしたり、自分の行動をコントロール出来なくなる場合もある。
*これらの障害の原因が、先天的な脳の機能障害であることは定説となっています。親のしつけや育て方のせいではありません。
 当園児童にも対象児がいますが、彼らが大人になったとき、周囲に負担がかからないよう、自立できるよう、私たちも努力していくことが大切です。
▲愛着障害 人間関係が希薄であり、特定の人、特に同世代とは親密な人間関係が結べないこと。人を信じない、威張り散らす、人を操ろうとする、自分をいつも被害者だと思う。心からの愛着を受けれない。大人はいつか自分を裏切るという考え方をする。感情面においては恐怖感、不快感を隠し持つむらがあり、心から楽しんだり喜んだりすることができない。身体面では、怪我をよくする。非衛生的痛みについて忍耐強く、触れられることを嫌がる。自我の生育度では自己肯定感がない。
 施設養育の原点は自分にとって愛すべきこの世の中で大切な存在として位置づけ、心の交流を行うことではないか。従って、施設職員は、子どもにとって自分を愛し、守ってくれる信頼できる大人であると言う存在感を与えることが重要です。

Q56.施設という集団生活の中では、感染症等は、拡がる可能性があると思いますが、主にどんな感染症が挙げられますか。

A.嘔吐下痢を伴う感染症等を参考までに挙げます。内容は、インターネットより情報収集をしています。
■溶連菌感染症(ようれんきん)
 A群β溶血性連鎖状球菌という細菌がのど(咽頭、扁桃腺)に感染して、のどの痛みや熱がでます。熱は治療しなくても、自然に下がることがありますが、1-2週間後に再び熱発します。時には、体や手足の発疹などがでることもあります。発疹は紅斑様で、かゆみをともないます。舌がいちごの表面のようにぶつぶつになったりします。1週間くらいしてから、手の指先から皮が捲れることがあります。飛沫(唾液から)でうつりますので、近くでしゃべることでうつります。
■SRSV(小型球形ウイルス)
 海水や河川水などに分布する急性胃腸炎の原因となるウイルスです。SRSVの人への感染は、ウイルスに汚染された飲食物(主に生カキ)を口にすることや、感染者との接触等による二次感染によって起こります。
 SRSVは、食前やトイレの後の手洗い・うがい等の個人衛生のほか、一般的な食中毒予防を行えば感染の危険性を最小限に抑えることができます。
 SRSV(小型球形ウイルス)という名前は、このウイルスを電子顕微鏡で観察したときの形態学的な特徴からつけられたものです。
 Small=小さい
 Round=球形の
 Structured=表面に構造物がある
 Virus=ウイルス
 現在は、遺伝子学的な分類によりノロウイルス(以前はノーウォーク様ウイルス)と呼ばれていますが、行政上は食品衛生法に基づいてSRSVの名称を使用しています。
■小児嘔吐下痢症(ウィルス性胃腸炎)
 冬になると毎年嘔吐を伴う小児の消化不良症が流行します(ただし、その年によって発症の時期が多少ずれたり、流行の規模の違いがあったりします)。
◎下痢がない場合もあります。
 激しい嘔吐が半日くらい続き、下痢は必ずしもあるとは限らない場合もあります。このような症状は2歳以上の幼児や学童によくみられ、いわば流行性嘔吐症というべきものでしょう。これはHRV(ヒトロタウイルス)によることもありますが、小型球型ウイルス(SRSV)と総称されるカリシウイルスを中心とした種々の胃腸炎ウイルスが原因です。このSRSVの中には、肝炎を起こすウイルスもあります。
◎予防には手洗いが一番
 小児嘔吐下痢症は、HRVやSRSVに感染した食物や飲料水を口にしたとき、あるいはHRVやSRSVが自分の手について、それが口の中に入ったときに起こります。これらは保育園や幼稚園、学校といった小児の集団生活の場で爆発的な流行を起こすことがあり、その様相はまるで集団食中毒のようになることもあります。
 これを予防するには、ふだんからていねいな手洗いを心掛け、タオルは共用しない、などの工夫が必要です。とくに、オムツを扱う保育士さん方は手洗いをまめにするようにしましょう。
■カンピロバクター…調理不十分な鶏肉食が特に危ない。
潜伏期間が長いために、原因食を突き止めるのが困難な細菌。
特徴:もともと家畜や犬、猫などの腸内にすむ菌。低温に強く、乾燥、熱に弱いが湯通しぐらいの熱では死なない。
感染原因:鶏、牛、豚、犬、猫、その他の動物。その排泄物に汚染された肉や水。特に不十分な調理による鶏肉によって幼児に起こることが多い。
潜伏期間:2~7日
症状:腹痛や発熱、下痢、吐き気、嘔吐など。血便が見られることもある。抗生物質の投与で1~3日で治る。

Q57.数年前から話題に上っている改正児童福祉法がいよいよ施行されるとのことですが概要を教えて下さい。

A.特に児童養護施設に関わる部分についての概要を行政説明資料より抜粋しましたので参考にして下さい。
 入所施設は、入所児童のケアに大きな役割を果たしてきている。今後は、地域の中で児童福祉推進の中核的な機能を発揮する組織として、これまで培ってきた子育てのノウハウやサービスを地域社会に還元していくものとする。このため、生活施設としての機能に加え、住民に対する相談・援助活動、子育て支援短期利用事業、施設からの家庭復帰した子どもやその家族へのフォローアップ、里親に対する支援など、地域の子育ての支援の拠点施設としての機能を充実していくこととする。
背景と現状
・子育て家庭の孤立、片働き家庭(専業主婦家庭)の負担感の増大。
・地域(コミュニティ)に於ける子育て力の低下。
・子育て家庭の現状
①子育ての負担が大と感じる人の割合
 (共働き家庭)男性9.8% 女性29.1% (片働き家庭)男性10.7% 女性45.3%
②子育てに自信がなくなることがよくある又は時々あると感じる人の割合
 (共働き主婦)46.7% (専業主婦)70.0%
・子育て支援事業の現状(実績):必ずしも十分ではない
 [例]子育て支援事業の実施市町村数(平成13年度実績)
    一時保育886 ショートステイ・トワイライトステイ267
・現行の児童福祉法
  被虐待児の入所措置など要保護児童対策及び保育に欠ける児童対策が中心
・今後は、全ての子育て家庭への支援が必要
児童福祉法の改正
・地域に於ける子育て支援事業を児童福祉法に位置づける
・これにより全ての家庭に対する子育て支援を市町村の責務として明確に位置づけ、全ての家庭に対する子育て支援を積極的に行う仕組みを整備する。
児童養護施設に関わる部分
・児童養護施設等は、地域の住民に対して、児童の養育に関する相談に応じ、助言を行うように努めることとする。

Q58.改正児童福祉法で保育士資格について、一部改正があったと聞きましたが、どのようなことでしょうか。

A.某日の新聞に分かりやすい記事が出ていましたので抜粋します。
①今年11月施行の改正児童福祉法で、保育士の業務に「専門的知識と技術を持って、保護者に対する保育指導を行う」ことが新たに位置づけられる。育児に不安を抱える親を支援する狙いだ。
②「子どもの代弁者」としての専門性を高めることが、親支援につながる。
③育児書や育児雑誌に振り回される親に、その情報が「子どもにとってどうなのか」という視点で洗い直し、確かな情報を伝えるのが私達の役目。
④親の多様なニーズに専門家だけでは対応しきれないし、子育ての悩みは親同士で8割解決できると言われる。保育園や幼稚園には「保育のプロ」としての専門性と同時に、親同士の学びあいの場をどう提供するかが求められている。 
 この法律は、どちらかと言えば、保育園保育士が対象となるとは思いますが、法改正上は、その様な特定の条件は記載されていませんので、保育士全般に適用されることになります。つまり、当園の保育士にも関わってくる事柄なのです。
 現実に、保護者からの電話対応を行ったり、面会・外出・外泊時に保護者と情報交換を行ったり等は、日常業務の中に繰り込まれています。
 今後は、更に「専門的知識と技術を持って、保護者に対する保育指導を行う」が加わっていくことになります。
■保育士資格の法定化についての詳しい情報をインターネット上より収集しました。
 保育士資格が詐称され、その社会的信用が損なわれている実態に対処する必要があること、地域の子育て支援の中核を担う専門職として保育士の重要性が高まっていること等を背景として、保育士資格が児童福祉施設の任用資格から名称独占資格に改められ、併せて守秘義務、登録・試験に関する規定が整備された。
(1)定義
 保育士とは、登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者とされました。(第18条の4)
 今回の改正では、従来、児童福祉施設で働く任用資格として児童福祉法施行令で規定されていた保育士資格が、児童福祉法上に名称独占資格として規定されるとともに、保護者に対して保育に関する指導を行うことが新たに保育士の業務に位置づけられました。
(2)名称独占
 保育士となる資格を有する者(指定保育士養成施設の卒業者又は保育士試験の合格者)が各都道府県知事の登録を受けることにより保育士となることとし、保育士でない者が、保育士又はこれに紛らわしい名称を使用することを禁止し、これに違反した者に対し罰則規定がもうけられました。
(3)守秘義務等
 新たに保育士には、守秘義務や信用失墜行為の禁止といった対人援助専門職としての義務が課せられることになりました。
(4)資質の向上
 保育所に勤務する保育士は、乳幼児に関する相談に応じ、助言を行うための知識及び技能の取得、維持及び向上に努めなければならないこととされました。

Q59.キリスト教を理念としている児童福祉施設は、子どもたちへの支援について、他の理念の施設とやり方が違うのですか。特徴を教えて下さい。

A.児童養護職員現任訓練の手引き(CCF編纂)と言う冊子があります。1968年に編集された内容ですが、劣化しない基本の考え方が、ここにありますので参考までに抜粋します。
A.キリスト教はすべての人々に次のことを教えている。
①すべての人々は崇高な人間としてできるだけ立派な者となるために存在している。
②すべての人々は他人に対して責任がある。人は聖書の言う如く「兄弟の守り手」である。人と社会は互いに依存している。それ故、人は共同の福祉のために働くことを知り、学ぶまでは人間として最善のものを実現することはできない。
③すべての人々は、この世の中をより住みよき場所とするために、常に働かねばならない。この世には疑いもなく多くの悪があるが、その悪を、より無力にすることこそ、我らの仕事なのである。
④キリスト者の生活についての個人的な模範は、最も大切である。キリスト教にとって個々のキリスト者の生き方によって示されるものより力強い証明となるものは何もないのである。職員が常に利己的でない生活で、真に児童を愛していることを示すときには、児童は、その結果として、利己的でないキリスト者の生活に生きることを学ぶのである。
⑤すべての個人は最高の価値を持っている。保護者も従事者も、言葉と行為で、すべての児童は人間として尊い価値のあることを教えねばならない。これは要するに福音の中心である。即ち、それは、神が、すべての個人を永遠の愛をもって愛していること-神の子らも同じ永遠の愛を持って互いに愛すべきことなのである。
⑥職員として必要な一連のよき決まりは次の如きものである。
(a)彼(彼女)は、いつもすべての人々の福祉増進をしようとするあらゆる運動には、影響、感化を与えようとすること。
(b)彼(彼女)は、すべての人々に対して善意をもって行動すること。
(c)彼(彼女)は、不幸な人々の住むところを改善しようとして、他の責任ある人々と共に働くこと。
(d)彼(彼女)は、出来るだけ男子も女子も立派なものに発展させようとする目標を心から抱いて働くこと。
(e)そして、彼(彼女)は、自分の内にある最善の生き方ができるように全力を尽くして働くこと。そして、すべての人々も同じような生き方のできる様な状態をもたらすために働くこと。このことだけが人類に益々の進歩と、よき生活を実らせる事ができるのである。
 職員はいろいろな方法で児童を支援できる。
①あまり厳しい規則を作らない。
②子どもたちのグループや個人的なことについては、出来る限りの融通性をもたせる。
③児童の能力に応じて、個別的に要求を調整する。
④多くの緊張を除いてやる。(即ち、くつろぎを与えること)
⑤子どもたちの躾の意味で職員の責任を子どもたち自身に移譲する。(子どもたち自身にどのように罰するかを決めさせる。)
⑥児童の健全な成長をはかるため、必要な刺激を与える。
⑦引っ込み思案の子どもをグループ活動に参加するよう励まし支援する。
⑧受け入れられない子どもに愛情を与える。
⑨不安な子どもには自信を得させる。
⑩注意を引こうとしたり、見せびらかせたりする自己主張の強い子どもには、気持ちを、興味や創造性豊かなものへと導いていく。
 躾と罰について
 児童が示す、殆どの正しくない行動は、愛されたいとか、安定感が欲しいと思う、子どもの欲求からくるのである。その結果、子どもは傷つき、怒り、不安定になるのである。よいワーカーは、この間違った行動をした子どもに対しても、正しい愛情と安定感を与えなければならない。子どもは自分の間違った行動にも関わらず、愛されているいう確信が欲しいのである。それからワーカーは、その時、子どもを傷つけ、怒らせ、不安にさせたものが何であるかを見いだす必要がある。もし、最終的に罰を与えるとしても、子どもを理解した上で与え、更に子どもにも納得させることによって初めて与えるべきである。このように、よい躾によって子どもは育てられ一人の人間として成長するのである。

Q60.苦情解決制度について、よく耳にしますが、今ひとつ概要が掴めません。分かりやすく教えて頂けないでしょうか。

A.新版社会福祉学習双書2002「社会福祉概論」全国社会福祉協議会中央福祉学院編にて分かりやすくまとめてありましたので、抜粋致します。参考にして下さい。
 社会福祉法は、従来一部の自治体や民間で実施されていた福祉オンブズマン制度を、苦情解決制度として法制度化した。従来、社会福祉における利用者の立場は弱いものであり、利用資格の認定や福祉サービスの利用の過程において、疑問や不満があってもそれを援助提供者側に訴えることはできなかった。苦情解決制度は、そのような利用者の不満に解決の手段を提供するとともに、福祉サービスの質的向上にも寄与しようとするものである。 苦情解決制度の基本となる考え方は、次のようなものである。すなわち、①福祉サービスに関する苦情は、本来当事者である利用者と事業者のあいだで自主的に解決されるべきである。しかし、②利用者の立場や属性から、自主的な解決というだけでは適切かつ公平な解決を期待することはむずかしい。したがって、③苦情解決の仕組みを、事業者の段階と都道府県の段階の二段階に設置するという考え方である。
 苦情解決制度で取り扱う苦情の範囲は、①原則として、社会福祉法にいう社会福祉事業の範囲である。②対象となる苦情は、福祉サービスに係るサービスの内容に関する事項である。③その範囲は、福祉サービスの利用契約の締結及び履行に関する事項である。
 苦情解決の体制は、事業所におかれる苦情受付担当者、苦情解決責任者、第三者委員で構成される。第三者委員は社会福祉法人の評議員(理事は除く)、監事、社会福祉士、民生委員・児童委員、大学教授などから選任される。苦情解決の手順は、利用者に対する制度の周知からはじまる。苦情申出人の範囲は、①福祉サービスの利用者、その家族、代理人、②民生委員・児童委員等、利用者に関する状況を具体的かつ的確に把握している者である。
 苦情を受け付けるのは苦情受付担当者であるが、第三者委員も受け付けることができる。苦情受付担当者は、受け付けたすべての苦情を、苦情解決責任者と第三者委員に報告する。次の段階として、第三者委員の立ち会いのもとに、苦情申出人と苦情解決責任者は話し合いによる解決に努めることになる。事業者段階で解決ができない場合には、都道府県社会福祉協議会に設置される運営適正化委員会等についての情報提供を行うことになる。
 都道府県段階における苦情解決は、運営適正化委員会において行われる。運営適正化委員会は、利用者代表、事業者代表、行政関係者、公益代表などから構成される。苦情申出人の範囲は、事業者段階における苦情解決の場合と同様である。同委員会における苦情解決は、①苦情の受付と内容の確認等、②苦情解決方法の検討、③事業調査、④助言、解決方法の決定、⑤苦情申出人と事業者の話し合いと不調の場合のあっせん案の作成と指示、⑥結果の確認、⑦苦情件数、処理結果等の公表、という手順で実施される。