シーン1:消えた姉
【時間】 現代、早朝
【場所】 ソラとカイの自宅、ソラの部屋

SE: けたたましい目覚まし時計の音、パニックになった母親の声

母親: (ソラの部屋に入り) 「ソラ!もう朝よ!学校に遅れるわ…って、ソラ!?どこにいるの!?」

母親の悲鳴に、カイが目を覚ます。ソラの部屋に入ると、ベッドは綺麗に整えられ、そこにソラの姿はない。

カイ: (顔を青ざめさせ、ソラの名前を呼びながら家中を探す) 「ソラ!ソラ!どこだ、ソラ!?」

父親: (心配そうに) 「カイ、どうした?ソラなら、もう学校に行ったんじゃないか?」

カイ: (力なく) 「…いや。違う。ソラがこんなに早く起きるわけがない。それに…」

カイは、ソラの部屋の窓に目を向ける。窓ガラスには、昨夜の嵐でついたと思われる、奇妙な蜘蛛の巣のような模様が浮かんでいた。

カイ: (心の中で) 「これは…神の、呪い…」

ナレーション(閻魔の声): カイの魂は、この『神隠し』が、昨夜のブランコの事故と同じ、あの黒い影…死神たちの仕業であることを直感的に感じ取っていた。

シーン2:予言と警告
【時間】 現代、同時刻
【場所】 冥府、閻魔庁

SE: 厳かなBGM、玉座の間が静寂に包まれている

閻魔大王が浄玻璃の鏡に映る地上の光景を、苦々しい表情で見つめている。鏡には、パニックになったカイと、憔悴しきった両親の姿が映し出されている。

閻魔大王: (鏡に向かって) 「クロガネ…そこまでだ。これ以上、あの者たちを弄ぶな。」

クロガネ(声): (冷酷な声で) 「大王様、これは我らの使命でございます。冥府の秩序を乱す『異物』を排除する…それが我々の存在意義。そして…これは、スサノオ様の命令でもある。」

閻魔大王: (怒りに震えながら) 「スサノオ…!やはり、あの男の仕業か!」

ナレーション(閻魔の声): 閻魔大王は、かつてスサノオが地上に投げかけた、一つの『予言』を思い出す。それは…「地獄より生まれし『虚無』は、人の理にて二十歳を迎える時、万物の理を覆す『絶対』へと至る」。

閻魔大王: (心の中で) 「あの男の狙いは…カイが『絶対』へと覚醒する前に、その魂を破壊し、自らの支配下に置くこと。そのためには、カイの魂の拠り所…ソトの魂を、『神隠し』という形で奪い、カイの心を絶望の淵に突き落とす…!」

シーン3:手がかりを求めて
【時間】 現代、その日の昼
【場所】 カイの高校、教室

SE: 喧騒、不穏なざわめき

学校でも、ソラの失踪は噂になっていた。「神隠しにあった」「あの子、前から変だったもん」…生徒たちの間で囁かれる声が、カイの心をえぐる。

カイ: (怒りと絶望を押し殺しながら、クラスメイトたちに) 「ソラは、神隠しになんてあってない!誰か、ソラを見た人はいませんか!?」

クラスメイトたちは、遠巻きにカイを見つめるだけで、誰も答えない。その時、一人の少女がカイの前に立つ。

少女: (不安そうに) 「…カイくん。私、ソラちゃんのことが心配で…」

彼女は、ひかり。カイとソラの幼なじみだった。

カイ: (ひかりを見て、憔悴した表情で) 「ひかり…」

ひかり: (強く) 「私、二人を信じてる。ソラちゃんが、そんな事件に巻き込まれるなんて、絶対に嘘だよ。一緒に探そう、カイくん。」

ひかりの言葉に、カイの心がわずかに温かくなる。

シーン4:犬の役割
【時間】 現代、その日の午後
【場所】 住宅街、路地裏

SE: 静かな通り、犬の鳴き声

カイとひかりは、手分けしてソラを探す。ひかりは、近所の人々に聞き込みをする。

ひかり: 「すみません、この辺りで、ソラちゃんという女の子を見ませんでしたか?」

近所の人: 「さあ…知らないねぇ。最近、この辺りでも変な噂が流れていて…」

SE: 遠くから聞こえる、犬の鳴き声

その時、ひかりの足元に、一匹の黒い豆柴が現れる。それは、カイとソラが飼っていた、クロだった。

ひかり: 「あ、クロ!どうしてここに…」

クロは、ひかりの足元に体をすり寄せ、クンクンと鼻を鳴らす。まるで、何かを言いたげな様子。

ひかり: 「…もしかして、クロ…ソラの居場所を知ってるの?」

クロは、ひかりに背を向け、一目散に走り出す。

ひかり: 「待って!クロ!」

ひかりは、クロを追いかける。クロは、迷うことなく、ある場所へとひかりを導いていく。

シーン5:廃工場の光
【時間】 現代、その日の夕方
【場所】 町外れの廃工場

SE: 不気味な風の音、重い鉄の扉が軋む音

クロに導かれ、ひかりは町外れの古い廃工場にたどり着く。そこは、子供たちの間でも有名な心霊スポットだった。

ひかり: (不安そうに) 「…ここ?クロ、ソラちゃんは、ここにいるの…?」

クロは、廃工場の重い鉄の扉の前で立ち止まる。扉には、固く鍵がかかっていて、ひかりの力では開けられそうにない。その時、ひかりの耳に、微かに、ソラの声が聞こえてくる。

ソラの声: (弱々しく) 「…ひかり…カイ…助けて…」

ひかり: (涙を浮かべながら) 「ソラちゃん…!」

ひかりは、必死に扉を叩く。しかし、扉はびくともしない。

ひかり: (心の中で) 「どうしよう…私には、ソラちゃんを助ける力なんて…」

その時、ひかりの背後に、一つの影が立つ。

カイ: (静かな声で) 「…ひかり。一人で来ちゃダメじゃないか。」

カイの瞳には、ひかりへの安堵と、ソラを奪った者たちへの、静かな怒りが宿っていた。

【第3話 完】