職員会議のあり方

 社会福祉法人において、ミッション(使命)をスタートラインとして、ビジョンと目標を確認し検討していく、また決定していく場が最高議決会議である理事会となり、事業所である社会福祉施設では最高議決会議の職員会議である。その下部に職制会議や部署別会議がある。ただし、職制会議については、施設長直轄会議として、職員会議の上部に設置する組織もある。
 職員会議の招集者は、事業所におけるトップリーダーの施設長である。しかし、ほとんどの場合、その招集業務を主任クラスの職員が代行している。
 例えば、法人理事長が理事会のため理事を招集する場合、必ず、議題を事前に伝える。時には、資料を事前に配付している場合もあるが、職員会議等では、「日々の業務に追われ余裕がない」という理由で、議題の事前通知が行われていない状況が見受けられる。それは、改善すべきである。
 職員会議の司会者を職員持ち回りで担っている場合があるが、その方法を否定するわけではないが、果たして、施設長の司会業務代行者として、会議を進めるに当たっての施設長との事前打ち合わせがどれほど実施できているのか疑問である。本来は、主任クラスが、施設長と十分に打ち合わせをし、議題選定を行い、全職員に議題の事前通知をするのがスムーズである。事前通知を受けた職員は、議題に対して、報告・発表の担当者であれば、資料準備を滞りなく行い、その他の職員は、疑問や意見を検討しておかなければならない。所謂、会議進行をスムーズに進めるための根回しをしておくわけである。いいえ、職員会議の司会者は、職員育成の一環として職員持ち回り制を採っており、会議進行の資質を高めるために必要であるとの考え方もあるが、それは、部署別会議等の場を利用すれば十分である。
 何故、職員会議の司会者として主任クラスが適任なのか、それは、事業所における最高議決会議であり、運営の方向性が示される重要な会議だからである。
 さて、職員会議の席に着席しているのは、職員個人なのか、それとも、利用者の代弁者である職員なのか。前者であれば、会議の時、自分の気が向かなかったら発言をしないと言う理屈が成立する。しかし、後者は、利用者の代弁者として着席しているため、発言しなければ代弁者としての役目を放棄していることになる。行事予定、行事計画報告の発表者が発表し、特に討論が成されることもなく、主任や施設長が一方的に話し、会議が終了と言ったパターンが見られるが、全職員が、利用者の代弁者としての自覚があれば、必ず、ディスカッションとなり、多種多様なアイデアが放出され、そこから取捨選択することによって、より良い方向へと導かれていくことになる。
 議事録は、職員が常時閲覧可能な状態でなければならない。承認や決定事項をいつでも確認できなければならない。従って資料も含めてファイルに綴り、施設長が議事録をチェック後、押印し、閲覧に供することができる場所に置いておくことが大切である。職員会議に欠席した職員は、必ず、議事録を読んで、出席した職員と同じように情報を共有する義務がある。
 学生時代、ゼミを受講した人もいる。そのゼミの中で、テーマが設定され、他の学生とディスカッションしていたこともある。あるいは、小学校・中学校・高校時代、意見を戦わせた経験は、誰もが持ちうる思い出である。親と口げんかという形で意見を戦わせた人もいる。これまでの人生の中で、ディスカッションやディベートを行っているのである。
 会議では、利用者の代弁者として積極的に発言しなければならない。それが、事業所運営を適切な方向へと導いていくと共に、不適切な状況の時は、自浄作用が働いていくのである。結果として利用者の福祉環境がより良い方向へと改善されていくことに繋がっていくのである。
 社会福祉施設では、日々の業務を優先しなければならない。そのため、会議時間には制限がある。限られた時間の中で、必要な案件を検討し決議していかなければならない。
 会議進行者である司会者は、次のことに気をつけなければならない。
 これは、OJT(On-the-Job Training)のトレーニングシートを参考にしている。
会議、ミーティングの心得チェックリスト
1.会議内容を的確に掴んでいる (司会者と施設長との事前打ち合わせ)
2.参加職員は明確にしている (会議欠席届の受理)
3.参加職員には予め、必要情報を通知している
4.役割の振り分け等、協力を必要とする人には予め根回しをしている
5.討論内容を予測し異論に対する検討を多角的、多面的に行っている
6.目標達成に対する効果、影響力などは十分に検討している
7.開催時期など、参加職員の負担にならない配慮をしている
8.時間などを十分に気を使っている
9.場の雰囲気づくりにも心掛けている
10.会議、ミーティング計画書を作成して、会議、ミーティングに臨むようにしている
11.会議、ミーティングの目的(主旨)を参加職員に共有化させている
12.会議、ミーティングの運営方法をはかったうえで進めている
(例えば、発言時間は1人何分以内などの取り決めを行う)
13.役割分担(司会、書記、タイムキーパー係など)を決めている
14.異論の声も十分出させている
15.納得のいくまで話し合うことをすすめている
16.会議、ミーティングが主題から外れるなど、停滞していたら、その都度、軌道修正の働きかけをしている
17.発言の少ない、無い人への働きかけも怠らない
18.時々、いままでのやりとりを要約して確認などし合う
19.一方的な形で進行させないよう配慮する
20.決定事項を要約し、参加職員と確認し合う